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テニスの上達のためにあえてあきらめるという選択

全部を完璧にしようとして、逆に成長が止まった経験。あきらめることで見えてきたものとは。

ジュニア時代から、「あれもこれも上手くなりたい」と思って練習していました。でも、全部を同時に上達させようとした結果、どれも中途半端になってしまった時期があります。

今回は、「あえてあきらめる」という選択をして、逆に上達を感じた経験について書いてみます。

「全部やろう」として停滞した時期

高校生の頃、周りのレベルについていけず、なかなか上達を感じられない時期がありました。

雑誌やYouTubeで「プロのような○○」という情報を見るたびに、「自分もこうなりたい」と思って、いろいろなショットの練習を取り入れていました。

バックハンドでもスピンをかけたい。フォアハンドでベースライン後方からエースを決めたい。セカンドサーブもスピードで相手を圧倒したい。

でも、試合になると相変わらずミスが多い。「なんで上手くならないんだろう」と悩んでいました。

「憧れ」が足を引っ張っていた

振り返ってみると、プロや上級者への「憧れ」が、自分の成長の邪魔をしていたんですよね。

プロのような華麗なバックハンドスピンを打ちたくて練習するけど、試合ではミスが怖くてスライスばかり使う。フォアハンドで後ろから強打してエースを取る練習をするけど、試合では前に入って安全に返すことが多い。

練習と試合で、やっていることが全然違う。これでは上達するわけがないと、ある時気づきました。

コーチの一言:「プロの真似より、自分のテニスを」

そんな時、コーチに相談したら、こう言われました。

「プロの真似をするのもいいけど、まずは自分が試合で使えるショットを磨いた方がいい。週末プレーヤーには、週末プレーヤーなりの戦い方がある」

この言葉が、自分の考え方を変えるきっかけになりました。

あきらめることを決めたショット

悩んだ末、自分は以下のショットを「あきらめる」ことにしました。

1. バックハンドのスピンショット
バックハンドは、スライスで安定して返すことに専念する。スピンは打てなくてもいい。

2. フォアハンドの後ろからのエース級の強打
ベースライン後方からの強打は諦めて、前に入って確実に返すことを優先する。

3. スピードのあるセカンドサーブ
セカンドサーブは、スピードではなく、確実に入れて試合を組み立てることを重視する。

こうして、「バックハンドスライスの安定性」「フォアハンドの前での確実性」「セカンドサーブの安全性」の3つに集中することにしました。

集中することで見えた変化

練習内容をガラッと変えました。

バックハンドのスピン練習は完全にやめて、スライスの精度を上げる練習に切り替え。フォアハンドも、後ろからの強打ではなく、前に入ってコントロールする練習に変更。セカンドサーブも、スピードを抑えてスピンをかける練習に集中しました。

バックハンドスライスが「武器」になった

最初の1ヶ月くらいは、「こんなので本当にいいのかな」と不安でした。周りの人はスピンを打っているのに、自分だけスライス。なんだか時代遅れな気がして。

でも、2ヶ月目くらいから、明らかに試合での安定感が変わってきました。

以前はバックハンドでミスが多かったのが、スライスに切り替えてから8割以上コートに入るようになった。しかも、スライスって低く滑るので、相手が意外と返しづらそうにしているんです。

ある試合で、相手が「バックハンドスライス、返しにくいですね」と言ってくれたことがありました。これが「武器を持つ」ということなんだと実感しました。

「引き出しを減らす」ことで迷いが消えた

もうひとつ大きく変わったのが、試合中の判断が早くなったことです。

以前は「スピンで打つか、スライスで返すか、強打するか」と迷っている間にタイミングを逃していました。でも今は、バックハンドはスライス一択。フォアハンドは前に入って確実に返す。セカンドサーブはスピンで入れる。

選択肢が減った分、迷いがなくなって、プレーのテンポも良くなりました。

試合の勝率が上がった

一番驚いたのが、試合の勝率です。

以前は5試合やって2勝3敗くらいだったのが、あきらめる選択をしてから、3勝2敗、時には4勝1敗くらいになってきました。

派手なショットは打てないけど、ミスが減った分、相手のミスを待つ戦い方ができるようになった。地味だけど、確実に勝てるテニスになったと思います。

「あきらめる」ことのメリット

この経験から、「あきらめる」ことにはいくつかのメリットがあると感じました。

1. 練習時間を効率的に使える

限られた練習時間の中で、全部をやろうとすると、どれも中途半端になります。でも、何かをあきらめることで、残ったものに集中できる。

週2回、1回2時間の練習しかできない自分にとって、これは大きかったです。バックハンドスライスだけに絞れば、2時間でもかなり質の高い練習ができます。

2. 「自分のスタイル」が見えてくる

あきらめることで、「自分はどんなテニスをしたいのか」が明確になりました。

自分の場合、「派手なショットで攻めるテニス」ではなく、「ミスを減らして相手のミスを待つテニス」。このスタイルを受け入れたことで、試合での戦略も立てやすくなりました。

3. 精神的に楽になる

「全部できなきゃ」というプレッシャーから解放されました。

バックハンドでスピンが打てなくても、「スライスで十分」と思える。フォアハンドで後ろからエースが取れなくても、「前で確実に返せばいい」と思える。

完璧を求めなくなったことで、精神的に楽になりました。

具体的に何を「あきらめた」か

それぞれのショットについて、もう少し詳しく書いてみます。

バックハンドのスピンショット

最初は「バックハンドもスピンで打たなきゃ」と思っていました。でも、自分のバックハンドスピンは、入る確率が5割くらい。試合で使える武器ではありませんでした。

スライスに切り替えてからは、確実性が格段に上がりました。低く滑るスライスは、相手の足元を狙えるし、時間を稼ぐこともできる。十分戦える武器になりました。

フォアハンドの後ろからの強打

雑誌で見る「ベースライン後方からのエース」に憧れて、後ろから強打する練習をしていました。でも、試合では力んでミスばかり。

前に入って確実に返すことに専念したら、ミスが減って、次のボールを攻めるチャンスも増えました。エースは取れないけど、ポイントは取れるようになった。

スピードのあるセカンドサーブ

「セカンドサーブでも速いサーブを打ちたい」と思って、スピード重視で打っていた時期がありました。でも、ダブルフォルトが多くて、試合で使えませんでした。

スピードを諦めて、スピンで確実に入れることに専念したら、ダブルフォルトが激減。セカンドサーブからでも試合を組み立てられるようになりました。

「あきらめた」ものは、いつでも戻せる

ここで大事なのが、「あきらめた」ものは「永遠にやらない」わけではないということです。

自分も、バックハンドスライスが安定してきた1年後、たまにスピンを混ぜる練習を始めました。スライスという土台ができていたので、スピンを混ぜることで相手のタイミングを崩せるようになってきました。

あきらめるのは「今は優先しない」という意味。いつでも戻ってこれます。

まとめ

テニスの上達のためには、時には「あきらめる」という選択も必要だと思います。

プロや上級者への憧れは大事だけど、それを全部真似しようとすると、どれも中途半端になる。それよりも、自分が試合で使えるショットに集中して、それを武器にする方が、結果的に早く上達できる。

あなたも、もし「なかなか上達しない」と感じているなら、一度立ち止まって考えてみてください。「憧れのショット」を追いすぎていませんか?

何かをあきらめることで、本当に大事なものが見えてくるかもしれません。

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Author

Shun Mizukami

テニス歴 20 年。ジュニア期から競技を続け、出版社での編集経験を経て、 現在はプレー経験と言語化の両方を生かして Next Point の記事を制作しています。 技術論だけで終わらず、次の練習で何を試すかまで落とし込める内容を重視しています。